地域新進演劇人育成事業 クリエイティブ・レジデンス【三重/広島】2020
「かのじょは、夏」
今日はいつなのか、昨日食べたものは何だったか。そして、今、目の前にいるこの人は誰なのか。
小さな介護施設で過ごす彼女の日常は、ぼんやりと、白く、日毎に閉ざされていく。
「なつかしい、ええにおいがするねぇ」
食卓から不意に蘇るあの夏の記憶。
青いはずの空が赤く燃えている。透明なはずの雨が黒く濁っている。町が焼けるにおい、人が焼けるにおい。
残された彼女の記憶にこびりついて消えない、もうひとつのにおい。
「一緒に日本一の醤油をつくろう」
そう言ってこの手を取ったあの人は、帰ってこんかった。
ある日、あの人の消息を伝えに来たもう一人の女。その女が差し出した細長い包みからこぼれてきたにおいは、あの人との大事な思い出の、あのにおいだった。
彼女らは、ただ、生きた。
少しずつ記憶はかすみ、見えるものが見えなくなり、見えないものが見えてくる日々の中、彼女らの思いと願いと祈りが、あの日々を生きた人たちの小さな声を引き連れて、静かに巡り続ける。
作 藤井友紀(舞台芸術制作室 無色透明)
演出 鳴海康平(第七劇場)
出演
大迫紗佑里(劇団こふく劇場)
木母千尋(第七劇場)
菊原真結(第七劇場)
西藤将人(劇団ハタチ族)
宮地 綾
竹野弘識(メガジョッキ)
東 圭香(舞台芸術制作室 無色透明)
照明 佐々木正和
プロデューサー 岩﨑きえ(舞台芸術制作室 無色透明)
フライヤーデザイン 橋本デザイン室
三重公演
11月22日(日)14:00 / 19:00(※映像配信の為の上演)・23日(月祝)14:00
三重県津市美里町三郷2104
広島公演
11月27日(金)19:00・28日(土)14:00 / 19:00
11月29日(日)13:00
広島市東区民文化センター スタジオ2
広島市東区東蟹屋町10-31
主催:(一社)舞台芸術制作室無色透明
共催:合同会社 第七劇場
助成:令和2年度芸術文化振興基金
新型コロナウィルス感染拡大防止対策を講じての上演となります。ご来場の皆様に以下の点でのご協力、ご了承をお願い他します。
◆咳エチケット、マスク着用、手指の消毒の徹底にご協力をお願いいたします。
◆出演者、スタッフに関して、運営に必要な最小限程度の人数となるよう工夫し、稽古期間中から検温、行動記録の徹底などの感染防止対策を行っております。
◆客席間に距離を取り、通常よりも客席数を限定いたします。
◆ご来場者様全員に非接触体温計での検温をさせて頂き、37.5度以上の場合、ご入場をお断りする場合がございます。座席、ドアノブ等の消毒を行い、会場入り口にも消毒用アルコール等衛生用品をご用意いたします。
◆念のためご来場者の皆様のお名前をリスト化させて頂き、万が一来場日以降に感染者が確認された場合、行政機関からの要請があればこのリストを保健所等に提供いたします。(なおリストは(一社)舞台芸術制作室無色透明が厳重に管理し、原則として1ヶ月後に安全に廃棄いたします)
◆過去2週間に熱、咳などの症状がある場合、誠に恐れ入りますがご来場をお控え頂き、映像配信公演を観劇頂きますようお願いいたします。